わがままを言うことも私の気持ちの表現だった。
何度でも彼に逢うためにいくつもの口実を考えた。
あるときには勉強を教えてもらい、またあるときには友人の恋愛相談、そして買い物に同行してもらったりドライブに行きたいと誘ってみたりもした。
どんな要求にも彼は応えてくれたし決していやな顔はしなかった。
そんな彼のあたたかさに付け込んだ訳ではないけど私の要求もどんどんエスカレートしていった。
ある日の明け方くらいからなぜかおなかが痛い・・。
学校へ行くどころじゃないので近くの病院に直行した。
診断は盲腸でスグに入院、手術となった。
そこでスグに心配になったのは彼に早く知らせなくてはということだった。
傷口がいたむのもがまんして彼の下宿に電話をしたがあいにく彼はいなかった。
私はとにかく電話に出てくれた彼の先輩に事情を説明して入院先を伝えてくれるようにお願いした。
その日の夕方
彼は学校から戻るとすぐに先輩から私の伝言を聞いたらしく心配そうな顔をして見舞いに来てくれた。
病院とはいえパジャマ姿は少し恥ずかしかったけど駆けつけてくれた彼には感激!
でも、笑うと痛いし
わずかに微笑む事が出来るだけ
この日は朝から何も食べてはいなかったからお腹もすいていたし
心細かったけど
彼がいてくれれば心も強くなれる。
毎日ではないけど彼は時間を見つけてはお見舞いに来てくれた。
また、高校生を装いたかったのかどうか解らないけれども一度学生服姿で現れたのには驚き、そして気に入ってしまった。