真冬の廊下でセーターを渡した。

出来上がったセーターを渡すその時は彼が冬休みに入って帰省をする日だった。
いつもの喫茶店で待ち合わせ、ころあいを見計らって店の外に誘い出し怪訝な顔をしている彼に「今着ているセーターを脱いで」と要求した。

暖房の無いビルの廊下は氷点下とはいわないまでも暖かくは無い。

さすがに彼も「何をしたいのか?」という表情を顔に浮かべたが、それ以上は追求せずに黙って従ってくれた。

私は紙袋から手編みのセーターを取り出し「ハイ、クリスマスプレゼント」といって黙ってそれを手渡した。

驚きながら感激する彼

嬉しそうにする表情に幸せを感じながら達成感を感じた。

そして彼は「このデザインっていつか見たのと同じだね?」と顔をほころばせながら気がついてくれた。

「そう、だからあの時セーターを選ぶときに邪魔したの・・」

彼は私の意図を理解してくれた。

すると彼は大事そうにセーターを脱ぎ始めようとしたので「そのまま着ていてと頼んだ」

もともと白いセーターを着ていたせいか店に戻っても誰も気がつかなかったけれども私は大満足していた。

彼は照れくさかったのか誰にも自慢はしなかったけれども予想はしていたので気を悪くすることも無かった。

あとは彼が帰省先から戻る前にペアルックを完成する必要があるけど2着目が簡単なのは経験上知っている。

世界に私達だけのペアのセーター

思い浮かべるだけで私の顔もほころんだに違いない・・。

一緒に歩いたら街の噂になるかもと二重の喜びに酔いしれていた。

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